ユニバーサル料変更のお知らせ

ユニバーサルサービス料(1電話番号あたり/月額(税込み) 2.2円 → 3.3円へと2025年7月1日より変更となりました。

※1 ユニバーサルサービス料は、総務大臣の指定を受けたユニバーサルサービス支援機関(一般社団法人電気通信事業者協会)が定める番号単価と同額です。

※2 適用対象となる電話番号は、加入電話、総合ディジタル通信サービス(ISDN)、ひかり電話等の契約者回線に付与された番号に加え、ダイヤルイン、i・ナンバー、追加番号(ひかり電話)、フリーアクセス(0120、0800等)などの付加サービスに付与された番号が含まれます。

平素より当社サービスをご利用いただき誠にありがとうございます。ユニバーサルサービス料の改定に関する最新情報を、令和6年(2024年)版『情報通信白書』のデータ等を交えてご案内申し上げます。お客さまには本記事をご一読いただき、内容へのご理解と今後のサービス利用にお役立ていただければ幸いです。

目次

料金の変更内容

この度、ユニバーサルサービス制度の番号単価改定に伴い、ユニバーサルサービス料(1電話番号当たりの月額料金)を現行の税込2.2円(月額2円)から税込3.3円(月額3円)へと変更いたします。適用時期は2025年7月ご利用分(8月ご請求分)からとなり、7月1日以降のご利用分より新料金が適用されます。例えば、お客さまがご契約中の携帯電話番号や固定電話番号、IP電話番号など各電話番号当たり月額3.3円(税込)が毎月の電話料金に加算され、ご請求となります。現行料金から1.1円(税込)/番号の月額負担増となりますが、何卒ご了承くださいますようお願い申し上げます。

なお、本改定後もユニバーサルサービス料は当社が独自に定める料金ではなく、総務大臣が指定するユニバーサルサービス支援機関(一般社団法人電気通信事業者協会:TCA)が公表した番号単価に基づき設定される全国共通の料金です。お客さまに引き続きご理解とご協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

ユニバーサルサービス料とは何か

改定の機会に、ユニバーサルサービス料とは何かをあらためて解説いたします。ユニバーサルサービス料とは、電話のユニバーサルサービス(注1)の維持に必要な費用を通信事業者全体で分担するために、ご利用中の電話番号数に応じてお客さまにご負担いただく料金です。簡潔に言えば、日本全国どこでも公平に利用できる基本的な電話サービスを守るための支援費用を、各電話会社がお客さまから少額ずついただき、基金として積み立てている仕組みです。

電話のユニバーサルサービスには、各通信キャリアが提供する加入電話(固定電話・IP電話・携帯電話)や公衆電話、緊急通報(110番・118番・119番)への通話サービスが含まれます(注2)。これらは国民生活に不可欠な通信インフラであり、採算性に関わらず全国あまねく提供を確保することが電気通信事業法によって定められた第一号基礎的電気通信役務(ユニバーサルサービス)です。都市部に比べ利用者の少ない山間部・離島等の地域や、災害時における公衆電話の利用確保など、事業採算上は不利でも社会的に必要なサービスを維持するため、電話会社各社が協力し費用を負担する制度としてユニバーサルサービス制度が設けられていますtca.or.jp。制度は2006年(平成18年度)にスタートし、2011年4月から光IP電話(固定電話と同等のIP電話サービス)も新たにユニバーサルサービスの対象に含まれています。tca.or.jp

ユニバーサルサービス料はこの制度にもとづき、全通信事業者から拠出された費用を原資とするユニバーサルサービス基金への負担金として徴収されます。具体的には、TCAが算定・公表した「番号単価」に従って各事業者が負担金を支払い、その負担分を毎月の電話利用料金に上乗せする形でお客さまから広く薄く費用を集めています。当社でも、この趣旨に照らし契約電話番号ごとに所定額をご負担いただいており、お客さまからお預かりした費用は全てユニバーサルサービスの維持に充当されます。なお、ユニバーサルサービス支援機関による番号単価の詳細や最新情報はTCAのホームページにて公開されております。

ユニバーサルサービスの目的と意義

ユニバーサルサービスの目的と意義は、日本全国の誰もが等しく基本的な電話サービスを利用できる環境を維持することにあります。携帯電話やスマートフォンの普及、5G通信の発展により通信サービスは高度化・多様化しておりますが、一方で高齢者や緊急時の連絡手段として固定電話や公衆電話、緊急通報は今なお社会にとって重要なライフラインです。ユニバーサルサービス制度による支援があることで、人口減少が進む地域や災害発生時など採算が合わない状況下でも、必要な通信手段の提供が途切れることのないよう支えられております。特に災害時には停電下でも使える公衆電話や、携帯網不通時の固定電話回線が社会の安全を支える役割を果たしており、その維持はサステナビリティ(持続可能性)の観点からも重要です。

また、企業のビジネスにおいても全国規模で安定した通信ネットワークが確保される意義は大きく、都市部・地方を問わずあらゆる地域で商取引や情報連携が可能となる基盤を提供するものです。ユニバーサルサービス料は、全国の利用者・事業者から広く募ることで社会全体では大きな支援の財源となっています。こうした仕組みにより、通信サービス提供企業は協力して社会的責任を果たし、通信インフラの格差是正と安定的な維持に取り組んでおります。ユニバーサルサービス制度の存在は、デジタル時代においても基本的な通信の権利を守るセーフティネットとして重要であり、その社会的意義は非常に大きいと言えます。

2025年の改定時期と影響

今回のユニバーサルサービス料の改定は前述のとおり2025年7月利用分から適用されますが、これにより利用者にどのような影響があるか補足いたします。料金改定後も、お客さまの月額負担増は電話番号1件当たり1円(税抜)増となります、契約回線数の多いお客さまは念のため請求額の変化をご確認いただくことをお願いいたします。

今回の負担額見直しの背景には、固定電話の利用減少や公衆電話の設置数縮小によりユニバーサルサービス収支が悪化している現状があります。公表資料によれば、ユニバーサルサービス事業は2023年度に約248億円の赤字を計上しており、現行の番号単価では必要費用の全体を賄いきれない状況が生じています。実際、基金による支援額は長期増分費用モデルに基づき算定されるため実際の提供原価との差があり、高コスト地域の一部に限定されていることなどから、現在の補填では赤字の一部しかカバーできていないと報告されています。このような状況を踏まえ、2025年度は番号単価の見直しが行われ、7月より負担額の引き上げが実施されることになりました。

今回の見直しによって、ユニバーサルサービス維持のための財源が安定化し、将来的に通信ネットワークの信頼性向上やサービス品質の維持に繋がる効果が期待されています。電気通信事業法上の責務に則り、弊社を含む通信事業者各社は改定後も引き続きユニバーサルサービスの維持に努め、安全で安心な通信サービス環境の提供に取り組んでまいります。万一将来にさらなる制度変更等が生じる場合には、速やかにお知らせいたします。お客さまには今後とも当社サービスをご利用いただきますようお願い申し上げます。

関連法令・制度の補足、他国比較、将来展望

最後に、ユニバーサルサービス料に関連する法令や制度、他国の状況や今後の展望について補足いたします。日本におけるユニバーサルサービスの根拠は電気通信事業法で定められており、ユニバーサルサービス提供義務や費用負担の仕組みなどが法律および関連省令によって規定されています(注1参照)。加えて、NTT東日本・西日本に対してはNTT法等に基づく全国一律サービス提供義務が課されてきましたが、近年は競争環境の変化に応じてユニバーサルサービスの在り方見直しも議論されています。総務省の令和6年版『情報通信白書』でも、全国的な電話サービス確保のための制度の重要性や課題が指摘されており、ユニバーサルサービスは日本の通信政策における基本的なポリシーの一つであると位置付けられています(注3)。

他国比較としては、世界各国で同様のユニバーサルサービス制度が存在します。例えばアメリカ合衆国では、通信事業者から徴収するユニバーサルサービス基金(Universal Service Fund)によって農村部の電話・ブロードバンド整備や低所得者支援(ライフラインプログラム)等が行われています。米国の基金は主に通信料金への数%の上乗せ課金で賄われ、近年はブロードバンド普及支援など対象範囲を拡大する傾向にあります。一方、欧州連合(EU)各国でもユニバーサルサービスの枠組みがあり、音声電話に加えブロードバンドインターネット接続を最低限のサービスとして位置付ける動きが進んでいます。例えば英国では、公衆電話の撤去基準を厳格化する代わりに携帯電話網のカバー強化を図るなど、時代に即したユニバーサルサービス政策が展開されています。日本においても、総務省がブロードバンドサービスに関するユニバーサルサービス制度の創設を視野に入れた検討を進めており将来的に高速通信ネットワークまで含めた新たなユニバーサル制度が導入される可能性があります。

将来展望として、ユニバーサルサービスの範囲や提供方法は今後も社会情勢や技術進歩に応じて進化していくと見込まれます。現在、NTT東西が担っている固定電話網中心のユニバーサルサービスについて、将来的には携帯電話(モバイル)網との役割分担や、光ファイバー/IP網への移行後の体制などが課題となっています。総務省の報告書案(2024年10月)では「固定網とモバイル網でユニバーサルサービスを実現する」方向性も示されており、従来の枠組みにとらわれない柔軟な制度設計が検討されています。また、人口減少や災害リスクに対応した仕組みの強化、そしてAIを含むデジタル技術との調和(デジタル・インクルージョンの実現)も重要なテーマとなっています。こうした環境変化に応じ、ユニバーサルサービス料の評価・見直しや制度全体のアップデートが適時行われるでしょう。
当社としましても、今後の政策動向や技術進展を注視しつつ、お客さまにあまねく安心してご利用いただける通信サービス基盤の維持・発展に努めてまいる所存です。引き続き当社グループへのご支援をお願い申し上げます。

注1) 電気通信事業法で「国民生活に不可欠であり、あまねく日本全国における提供が確保されるべき」と定義されているサービスのこと。現在、その対象はNTT東日本・NTT西日本が提供する加入電話、公衆電話および緊急通報(110番・118番・119番)です。
注2) ユニバーサルサービス料の適用対象となる電話番号には、加入電話、INSネット(ISDN)などの契約者回線に付与された番号のほか、ひかり電話や直収電話等の0AB-J番号、さらにはダイヤルイン・iナンバーなど追加番号サービスやフリーアクセス・フリーダイヤル番号なども含まれます。(なお、「020」から始まる番号はM2M専用のため対象外)。契約種別ごとの詳細な対象番号一覧については、一般社団法人電気通信事業者協会のサイト内「ユニバーサルサービス支援業務」ページ等でご確認いただけます。
注3) 総務省『令和6年版情報通信白書』では、能登半島地震における公衆無線LANの活用やデジタル技術の進化と社会との共生などが特集されています。その中でユニバーサルサービスに関しても、通信インフラの維持・強靱化や地域格差是正の取り組みが重要な政策課題として言及されています。白書は総務省ホームページ(ホーム)にて日本語・English双方で公開されており、詳細は通信行政の現状をまとめた同白書本文をご参照ください(総務省ウェブサイトのサイトマップからもアクセス可能です)。なお、本記事の内容は『情報通信白書』記載事項および関連資料等に基づき作成しておりますが、記載の情報(料金・制度の内容など)は今後変更される可能性がありますのでご了承ください。

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