コールセンターシステムのCTIとは? 主な機能や導入メリット、選び方のポイントを解説

現在、コールセンターやコンタクトセンターでは業務量の多さからくるスタッフの負担増加と顧客満足度の低下が大きな課題になっています。そこで導入が進んでいるのがCTI(コールセンターシステム)です。
この記事ではCTIの基本的な機能から活用事例、導入メリット、システムの選び方などをまとめて解説します。ぜひコールセンター業務の効率化や生産性アップの参考にしてください。
コールセンターシステムのひとつCTIとは?

CTI(コールセンターシステム)とはコンピューターと電話、FAXを連動させるシステムです。顧客が電話をかけると、CTIを介してオペレーターに着信します。顧客がかけた電話番号からデータベース化された顧客の属性、行動履歴、問い合わせ履歴などが画面に表示される仕組みです。
オペレーターは電話を受けるたびに顧客情報の問診をおこなわなくて済み、スピーディーに顧客が求める情報の提供や案内ができます。顧客側も速やかに自分の解決したい問題の回答や知りたい情報が得られ、満足度が向上します。その他にもコールセンターの運営を便利にする機能が装備されており、業務効率化に大いに役立つでしょう。
CTIの種類

CTI(コールセンターシステム)には「オンプレミス型」と「クラウド型」の2種類が用意されています。既存の設備やシステム、予算などによって選ぶとよいでしょう。どちらを選択するかの参考材料として、特徴やメリット、コストなどを知っておきましょう。
オンプレミス型
オンプレミス型は、企業が保有するサーバーを利用してCTIを取り入れる仕組みです。コールセンターの業態や性質に合わせて細部までカスタマイズが可能です。自社内のネットワークやサーバーを活用するため、高度なセキュリティレベルを維持できます。顧客の個人情報や重要データの漏えいを防げます。専用機器の設置などでクラウド型に比べて、導入コストは高くなります。

クラウド型
クラウド型は、インターネットを使ってベンダーがクラウド上に構築したサーバーを利用する仕組みです。すでにあるサーバーやネットワークを使うため、初期費用が極力抑えられ、短期間でスタートができます。システムを追加したりメンテナンスをおこなったりといった作業も手間がかからず便利です。
ネット回線があれば在宅ワークやサテライトオフィスでの勤務にも対応できるため、柔軟な働き方を推奨している企業におすすめです。オンプレミス型に比べると、自社に合わせたアレンジはやや難しくなります。クラウド型は、インターネットを使ってベンダーがクラウド上に構築したサーバーを利用する仕組みです。すでにあるサーバーやネットワークを使うため、初期費用が極力抑えられ、短期間でスタートができます。システムを追加したりメンテナンスをおこなったりといった作業も手間がかからず便利です。
ネット回線があれば在宅ワークやサテライトオフィスでの勤務にも対応できるため、柔軟な働き方を推奨している企業におすすめです。オンプレミス型に比べると、自社に合わせたアレンジはやや難しくなります。

CTIとCRMの関係

CRM(Customer Relationship Management)もコールセンターで頻繁に活用されるシステムですが、顧客管理の役割を担っています。顧客の個人情報や行動履歴、問い合わせ履歴などを一元管理できます。これらの情報からマーケティングや営業のための多面的な分析も可能です。
CTIとCRMはそれぞれ単独でも機能しますが、連携させて使うことでより詳しい顧客情報を参照しながら電話応対ができます。顧客への効果的なアプローチ方法がわかり、適切な案内ができるでしょう。
【インバウンド型】コールセンターシステムCTIの主な機能

CTI(コールセンターシステム)は、コールセンターの役割に応じて必要な機能が異なります。ここでは顧客からの着信を受けるのがメインのコールセンターで活用できる機能をご紹介します。
ポップアップ機能
ポップアップ機能は、着信時にオペレーターの端末に顧客情報を表示させる機能です。オペレーターは案内の参考になる情報を見ながら電話対応ができるため、顧客から情報を聞き取る手間が最小限に抑えられます。問診前に通話履歴や過去の問い合わせ内容がわかれば「何を求めているのか」「解決したい問題は何か」などが予測でき、スピーディーに的確な案内ができます。
画面に表示する情報は設定次第で調整が可能です。応対時間が長い傾向にあるコールセンターでは問題の解決につながります。顧客からのロイヤルティも高まるでしょう。
IVR(自動音声応答)機能
IVR機能は、多くのコールセンターで活用されている自動音声応答機能です。顧客がコールセンターに架電すると、自動音声のガイダンスが流れ、プッシュ操作で顧客の目的に応じた部署に振り分けます。問い合わせ内容が大まかに把握できた状態で担当のオペレーターに着信するため、生産性向上につながります。
また「よくある質問」や無人でも対応できる定型的な事案については、最初のほうにガイダンスに組み込んでおけば顧客も速やかに問題が解決して、コールセンターへの呼量の削減が可能です。IVR機能を利用すれば24時間、自動音声応答で顧客に案内ができます。コールセンターが稼働していない時間帯は、ガイダンスで営業時間をお知らせしておけば、営業再開後にかけ直しができて便利です。
ACD(着信呼自動分配装置)
ACDは「着信呼自動分配装置」を指し、着信した時に事前に設定した決まりにしたがって自動的に電話を振り分けるシステムです。例えば音声ガイダンスで「契約内容の確認」や「商品に関する問い合わせ」などの目的に応じて顧客がプッシュ操作で操作すると、該当の専門部署につながる仕組みです。
コールセンターの運営ルールによって、オペレーターへの振り分け方が変更できます。待機時間が多いオペレーターに優先的につなげたり、スキルの高いオペレーターにつなげたりといった調整が可能です。スタッフの稼働率の公平化を目指すなら前者、複雑な問い合わせやトラブルに発展しそうな事案の時には管理職や熟練したオペレーターが対応するルールなら後者に設定するとよいでしょう。
また、電話が混み合っている時はその旨を音声ガイダンスで顧客に知らせ、心理的に安心感を持たせられます。
通話録音機能
通話録音機能は、顧客とのやり取りの中で齟齬があったりトラブルやクレームに発展したりといったケースで役立つ機能です。後から録音内容を聞き返すことで「正しい案内ができていたか」「なぜトラブルに発展したのか」などの特定や分析ができます。
録音は管理職やSV(スーパーバイザー)がオペレーターを指導する時にも便利です。電話応対の基本的なマナーから案内の正確性、話し方などを録音によって客観的に聞き返すことで、改善につなげます。定期的な指導で応対品質の向上が実現するでしょう。
電話制御機能
電話制御機能は、着信、保留、切断などをコンピューターでできる機能です。操作性に優れており、顧客との応対に注力できます。また、顧客が指定した担当部署のオペレーターに偏りなく振り分けて着信する機能も持っています。
電話転送機能
電話転送機能は外線、内線電話どちらも転送できる機能です。電話とともに顧客情報を表示した画面のまま転送できるため、転送された先のオペレーターもはじめから顧客に問診する必要がありません。転送は、担当外の話になった時や通常の案内では完結せずエスカレーションしてSVやリーダーに対応を代わる時などに活用できます。
CTI(コールセンターシステム)によっては在宅ワークをしている先に転送できるため、非常に便利です。
【アウトバウンド型】コールセンターシステムCTIの主な機能

発信がメインのコールセンターでは、顧客に対して自社製品・サービスの有益性や魅力を伝え、関心を持ってもらうのが目的です。ここでは発信業務に役立つCTI(コールセンターシステム)の機能をご紹介します。
ワンクリック発信機能
ワンクリック発信機能は、文字通り顧客リストから顧客を選び、クリック操作で発信できる機能です。電話番号をオペレーター自身が入力すると、電話番号を間違えるリスクがあり、トラブルのもとになります。操作が容易でヒューマンエラーが防げるワンクリック発信はコールセンターに不可欠な機能といえるでしょう。
自動ダイヤル機能
自動ダイヤル機能は、事前に登録された顧客一覧をもとに自動的に発信をおこなう機能です。何回か呼び出しても出ない時は次の顧客に発信する機能があり、できるだけ多くの顧客に架電したいテレアポやお客様センターなどで利用されています。
IVRと連動して電話がつながった顧客に自動音声で案内をおこない、顧客が希望する部署に自動でつなぐことも可能です。こうした能動的な行動を起こしてくれた顧客は、確度が高いとも考えられます。効率的な架電でコールセンターの目標達成にも役立つでしょう。不在かもしれない顧客に延々と電話をかけるよりも、オペレーターの負担が軽減できます。
プレディクティブ発信機能
プレディクティブ発信機能とは、顧客リストと作業手順にしたがって顧客に自動で一斉発信をおこなう機能です。複数の顧客に一度に架電して、相手が出た場合は待機しているオペレーターにつながり、応答がない場合は次の顧客へと架電します。応答がない顧客には時間をあらためて再架電することも可能です。
在籍するオペレーターがすべて稼働中の時は発信をストップできます。一斉に発信したものの、オペレーターが対応できるまで顧客が待たされるという事態を防げます。架電の目的が簡単なアンケート調査やリサーチの場合、自動音声につながり顧客は電話のプッシュ操作だけで済むため、多くのデータが効率よく収集できるでしょう。
また、一度に架電する数は設定によって調整が可能です。電話に出ない顧客が多い、不在が多い、などを考慮すると、対応できるオペレーターの人数の何倍かを設定するとよいでしょう。さらに「電話がつながり案内をおこなった」「電話に出なかった」など、架電の結果は自動的に履歴が残ります。
オペレーターは電話をかけたがつながらなかったため、また次の顧客にかけたり、つながらなかった顧客に時間を変えてまた電話をかけたりといった一連の発信に関連する作業に煩わされることなく顧客対応に専念できます。
リスト管理機能
発信することが大半のアウトバウンド型では、架電する顧客のリスト管理は非常に重要です。リスト管理機能では、架電履歴や見込み確度、商談確度が高いと考えられる顧客を記録できます。過去にクレームになった顧客や「電話はやめてほしい」という顧客に対しては、リストから外しておくほうがよいでしょう。オペレーターの精神的ストレスを軽減できます。
顧客に関するあらゆる情報を更新しておくことで、オペレーターはどのようなアプローチが有効なのか把握した状態で架電できます。適切なリスト管理は、成約率のアップにつながるでしょう。
見込み管理機能
見込み管理機能は、アポイントメントや商談、サービスの利用など、次の段階に進む確率の高い顧客に架電する日時を設定する機能です。設定した日時になればリマインド通知するため、ビジネスチャンスを逃さず架電ができます。
一度目の電話で反応がよかった顧客や自社のウェブサイトを閲覧している顧客など、さまざまな行動履歴からCTI(コールセンターシステム)上でリストを作成可能です。
コールセンターにCTIシステムを導入するメリットとは

CTI(コールセンターシステム)を導入するには一定のコストがかかります。最新の機能を備えた製品なら、なおさらです。しかし、コスト以上にさまざまな利点があります。ここではCTI(コールセンターシステム)の導入メリットについて解説します。
業務の効率化が進み本来の業務に集中できる
CTI(コールセンターシステム)には、コールセンターが抱える改善すべき点や課題を解決できる機能が用意されています。導入前よりも各段に業務の効率化が進むことは間違いありません。管理職からオペレーターにいたるまで、本来の業務に集中でき、クオリティの高いサービスが提供できます。
オペレーターへの負担が減る
CTI(コールセンターシステム)の顧客情報の画面表示やプレディクティブ発信機能などは、これまでオペレーターが担っていた、ある意味煩雑な作業を正確に自動でできるようになります。オペレーターの業務負担や精神的な負担は大きく軽減され、仕事に対する意欲も増すでしょう。スタッフの定着率アップにも効果的です。

顧客サービスのクオリティ向上
CTI(コールセンターシステム)がもたらすメリットはセンター側だけではなく、顧客にとっても効果があります。通話時間の短縮やスムーズで丁寧な応対、的確な案内など、ストレスがなく質の高いサービスが受けられるでしょう。
コールセンター向けCTIシステムの選び方のポイント

現在、CTI(コールセンターシステム)は各社から優れた製品がリリースされています。基本的な機能に差はありませんが、製品によって若干の違いがある点に注意です。ここではCTI(コールセンターシステム)の選び方で気をつけたい点を解説します。
コールセンターの形態に合っているか
最も重視したいのは「自社のコールセンターに合ったシステムか」です。着信が中心のインバウンド型なのか、発信が中心のアウトバウンド型なのかによっても、必要な機能は異なるでしょう。コールセンターの規模やシステムにかけられる予算など、さまざまな観点から最適な製品を選びたいものです。迷う場合は、ベンダーに相談してみましょう。
運用開始後のサポート
製品を選ぶのと同様に大事なのがベンダー選びです。多くの製品提供実績があって、信頼できるベンダーが望ましいです。運用時だけでなく、実際に運用を開始した後もサポート体制が整っているかの確認は不可欠です。どれほど優れた製品でも予期しないエラーで業務に支障をきたす可能性はゼロではありません。そのような状況で速やかにサポートをおこなってくれるベンダーがよいでしょう。
既存のシステムとスムーズに連携ができるか
既存システムと問題なく連携が可能かも重要なポイントです。CRMやPBXなどのITツールとの親和性を事前に点検をおこなって確認します。また、将来的にAIツールを採用する予定があれば、システムの追加も視野に入れておくとよいでしょう。
セキュアな回線
顧客情報を日常的に扱うコールセンターでは安全対策が特に重要です。システムの安全性はもちろん、電話回線のセキュリティも強固にしておく必要があります。データの暗号化やアクセス制御などの対策がとられているか、ISOの取得をしているか、などを確認して判断しましょう。
コールセンター向けCTIシステム導入までのステップ

CTI(コールセンターシステム)を採用する際には、慎重かつ多角的に検討を重ねたいものです。ここではシステム導入までの一連の流れをご紹介します。
資料請求・見積依頼
CTI(コールセンターシステム)には非常に多くの優れた製品があるため、かえって選ぶのが難しい面があります。はじめはベンダーが提供する資料のダウンロードなどを利用して、製品を比較検討します。自社に合った製品が見つかったら、見積りを依頼しましょう。多くのベンダーでは無料で、電話やメールにて見積りや相談などに応じてくれます。
プラン選択
製品が決まれば、具体的なプラン選択にうつります。初期費用や月額費用などの料金面や付随する機能、オプションの有無など多面的な視点で選択するのがよいでしょう。コールセンターでは発信、着信にかかる通信費もまとめて判断材料とします。
契約
採用する製品やプランが決まれば契約です。システムの納期を確認しておきましょう。運用開始までに新たなシステムの活用方法や画面操作、新ルールなどを周知するための研修を実施します。本番環境に近いデモ画面があれば、操作の練習ができます。運用後に操作ミスが起こらないよう徹底しておきましょう。
運用開始
運用開始間もない時は何かとトラブルが起こりやすいものです。管理職はオペレーターの様子を見て、いつでもフォローに入れる体制を作っておきます。またベンダーからのサポートもあればベストです。
コールセンターのシステム導入におすすめのCTI

通信サービスのブランド「LIPSE」が提供するクラウドが型CTI(コールセンターシステム)「AmeyoJ」は、通信キャリアならではのサービスが魅力です。システムと電話回線も提供され、通信料は秒単位の課金で発信の場合、かけ放題が利用できます。自社のコールセンターに合ったカスタマイズの幅も広く、プランも多数用意されています。
「AmeyoJ」について詳しくは、下記公式サイトからぜひご確認ください。
コールセンターシステムはCTIを有効活用して業務の効率化をはかろう!
コールセンターのあらゆる業務を効率化できるCTI(コールセンターシステム)は今後のセンター運営に欠かせません。基本的な機能だけでも十分に優れていますが、コールセンターに合ったカスタマイズが可能な製品がおすすめです。導入後はCTI(コールセンターシステム)の機能を最大限に活用して業務効率化・顧客サービス向上に努めましょう。
参考文献・エビデンス
顧客の「待ち時間短縮」は即時性バイアスに適う
本文では、「電話の待ち時間の短縮」「スムーズな案内」など、顧客応対の迅速化が明記されています。
これは、行動経済学でいう「現在バイアス(Present Bias)」に関連します。
「人は将来よりも“今すぐ”の便益に強く反応し、目先の快適さを重視する傾向がある」
出典:アリエリー, D.(2008). 予想通りに不合理. 早川書房, p.74
対応の一貫性は判断ノイズの抑制につながる
本文では「オペレーターへの負担が減る」「業務効率化により本来業務に集中できる」
「ノイズ(ばらつき)理論」
「判断が一貫しない原因の一つがノイズ(偶然のばらつき)であり、環境要因や精神的負荷の軽減によって、ノイズは減少しうる」
出典:カーネマン, D., シボニー, C., サンステイン, C.(2021). 組織はなぜ判断を誤るのか. 早川書房, p.52
オペレーターの対応が安定し、顧客に対するサービス品質が均質化されるなら、顧客はより信頼できるサービスを受けられることを示しています。
顧客情報の即時ポップアップは選好最適化につながる
CTIとCRMの連携により、「顧客情報の画面表示」や「スムーズな案内」が実現される点も明記されています。
これは、選択アーキテクチャの最適化およびパーソナライズド・ナッジに通じる設計です。
「人は、自分に関連性の高い情報や対応を受けると、その選択肢を高く評価しやすい。ナッジの効果が高まる」
出典:セイラー, R. H., & サンスティーン, C. R.(2009). 実践 行動経済学 ナッジ!. 日経BP社, p.82
CTIによるカスタマイズ対応は、顧客に「自分に合った案内を受けている」という印象を与え、満足度とロイヤリティ向上につながる実証的効果が期待されることを示しています。