フリーダイヤルの契約にかかる料金とは? 0120の仕組みや法人が導入する流れなど基本を解説

0120で始まるフリーダイヤルの導入を検討する企業にとって、契約にかかるイニシャルコストや運用するランニングコストは重要な検討材料です。フリーダイヤルを導入することで得られるメリットとコストの妥当性も気になるでしょう。
この記事では、フリーダイヤルの契約料金やメリット・デメリットなどの基本的な知識を解説します。あわせてフリーダイヤル導入のコスト削減、活用につながるクラウドPBXについてもご紹介しますので、参考になさってください。
そもそもフリーダイヤルとは?

フリーダイヤルは日々の生活や業務のなかに浸透しており、知らない人は多くないといっても過言ではないでしょう。とはいえ、フリーダイヤルについて説明するとなると、戸惑ってしまうかもしれません。ここではフリーダイヤルの基礎的な知識を解説します。
フリーダイヤルは着信課金の電話番号
フリーダイヤルは着信課金電話番号サービスと呼ばれており、電話料金のうち通話料が着信側に課金される電話番号、サービスのことです。着信側とはフリーダイヤルを導入している企業のことであり、フリーダイヤルあてにかかってきた料金のみならず、フリーダイヤルからかけた料金の両方がフリーダイヤルを契約している企業にかかります。
ちなみに、フリーダイヤルに相当するサービスは複数の事業者が提供しており、総務省では着信課金の電話番号サービスの総称として、フリーフォンサービス(料金着信払い通話)という呼び方を使用しています。
フリーダイヤルが架電のハードルを下げている
フリーダイヤルは、旧日本電信電話公社が民営化されて間もない日本電信電話株式会社(NTT)によって1985年に開始されたサービスです。電話関連サービスのなかでも息の長いサービスとして広く知られており、その背景には導入している事業者への架電ハードルの低さがあります。架電する顧客側は通話料を気にする必要がありません。
フリーダイヤルは0120だけではない

フリーダイヤルといえば多くの人が思い浮かべるであろう「0120」が代名詞のようになっています。しかし、0120で始まる番号だけがフリーダイヤルではありません。
0120と0800の違い
0120に次ぐフリーダイヤルの番号として「0800」が使われています。0120と0800の違いが気になるところですが、この2種類の番号にこれといった違いはありません。フリーダイヤルが浸透し、サービスを導入する企業や団体が増えたことで番号の不足が懸念され、新たに0800が設けられたためです。
ただし、0120で始まる番号が後ろに6つの数字が続く10桁であるのに対し、0800は7つの数字が続く11桁で構成されています。そのため、番号切れを心配する必要はないでしょう。
フリーダイヤル以外の呼び方
フリーダイヤルの名称はNTTから引き継いだエヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社の商標です。そのため、たとえばKDDI株式会社が提供するフリーコールなど、他社の同様のサービスは各社の独自名称がつけられています。とはいえ、フリーダイヤルの名称が広く知られていることから、一般にはフリーダイヤルで通じるといえるでしょう。0120または0800で始まる点も同じです。
フリーダイヤルは単独の電話回線ではない

フリーダイヤルは通常の電話回線とは異なり、0120や0800で始まる番号が単独の電話回線で利用されるわけではない点に注意が必要です。
フリーダイヤルの利用には紐付ける電話回線が必要
フリーダイヤルは通常の電話番号を有する電話回線を着信課金用として利用するためのサービスであり番号です。つまり、0120や0800で始まる番号が振られた電話回線があるわけではなく、着信先はフリーダイヤルに紐付けられた03や06といった通常の番号で始まる電話回線となっています。したがって、フリーダイヤルを導入するには紐付ける電話回線が必要です。

既存の回線に設定する
紐付ける電話回線の選択肢のひとつとして、既存の回線があります。フリーダイヤルの導入にあたって新規に回線を用意する必要がないため、コスト面や手続き面で有利です。顧客等に既存回線の電話番号が周知されている場合、通常番号での利用とフリーダイヤルでの利用が混在することになります。
新規回線を契約する
フリーダイヤル用に新しく回線を用意する選択肢もあります。この場合、当該回線の電話番号を外向きに知らせる必要がないため、新しい回線の基本料金など費用はかかるものの既存回線と切り分けた運用が可能です。
フリーダイヤルの契約にかかる料金

フリーダイヤルを契約・運用することで、以下に示す料金がかかります。
イニシャルコスト
フリーダイヤル導入時には工事費や登録料などのイニシャルコストがかかります。工事費といってもフリーダイヤルの設定や着信番号の設定を行うものであり、導入する事業所で物理的な工事が行われるわけではありません。ただし、電話回線を新たに契約する場合は、フリーダイヤルとしてではなく電話回線側の工事が必要な場合があります。
定額ランニングコスト
フリーダイヤルの利用にあたっては、定額のランニングコストとして毎月の基本料金が必要です。サービスの提供事業者によって異なりますが、フリーダイヤル番号ごとにかかる基本料金や回線数にかかる基本料金があります。また、フリーダイヤルをより効果的に運用するためのオプションサービスには無料のものと有料のものがあり、有料オプションサービスを利用する際には、別途料金が必要です。
従量ランニングコスト
フリーダイヤルの料金で注意したいのが従量ランニングコスト、つまり通話料です。利用した分だけ加算されるため、かかってくる電話が多ければ思わぬ多額の負担になることがあります。通話料は加入回線、携帯電話、公衆電話など相手によって異なる設定がなされており、通常は加入回線(一般電話)よりも携帯電話、携帯電話よりも公衆電話のほうが高額です。
フリーダイヤルを導入するメリット

多くの企業が導入するフリーダイヤルの主なメリットを解説します。
顧客がアクセスしやすくなる
フリーダイヤルの一番のメリットは、顧客がアクセスしやすくなる点だといえるでしょう。企業がフリーダイヤルを導入する主な目的は顧客からのアクセスを増やすことだといえるためです。顧客が企業にアクセスする方法はいくつかあり、そのなかでも電話は誰もが手軽に使える手段ですが、通常の電話では発信側の顧客に通話料の負担がかかります。そのため、問い合わせや相談はもちろんのこと、注文まで躊躇してしまう顧客がいれば、企業にとっては大きな機会損失です。
フリーダイヤルを導入することで、顧客は通話料の心配なく架電できるため、問い合わせ等のハードルが下がることになります。企業としては顧客との接点が増えます。これにより顧客は金銭的な負担なく疑問の解決や注文ができ、企業は顧客の様々な声を集めることが可能です。結果として顧客満足度の向上、最終的な売上・利益のアップを期待できるでしょう。
企業としてのブランド向上につながる
フリーダイヤルを導入している企業は、顧客にとって有利な施策にコストを払っている会社だと認識されやすいといえます。また、大手企業がフリーダイヤルをいち早く導入していた経緯があることから、大企業のイメージを持ってもらえる可能性があるなど、ブランディングに有利です。
移転による番号の変更がない
フリーダイヤルの番号は、事業所を移転しても変更する必要がない点も大きなメリットです。番号が変わらないため、各方面に変更の連絡をする必要もありません。
通常の電話番号は近距離の移転であっても電話番号が変わってしまう可能性があります。長く使っていた電話番号が変わることは、企業にとってマイナスの影響を及ぼしかねない要素です。フリーダイヤルなら移転後も同じ番号を使えるため、顧客との接点を失うおそれがなくなります。
電話番号の認知を促進する
フリーダイヤルは電話番号の認知を促進する効果があるといえるでしょう。0120または0800は決まっているため、残りの6桁または7桁を記憶するだけです。一方、通常の電話番号であれば10桁の番号が思い出せないケースも珍しくありません。地域的に市外局番がわかったとしても、03地域や06地域なら続く8桁が必要です。
自社に応じたオプションを選べる
フリーダイヤルにはさまざまなオプションサービスが用意されており、自社の業務に照らして必要なモノを選んで業務効率のアップを図れます。IVR(自動音声応答)による電話対応の効率化や話中オプションによる機会損失の防止なども可能です。

フリーダイヤルのデメリット

フリーダイヤル導入の主なデメリットを解説します。
コストが増える
通常の電話にプラスしてフリーダイヤルの工事費や月額料金が発生することに加え、通常の電話では負担することがない着信分の通話料というコストアップ要因があります。ただし、コストアップを上回る売上・利益の増加や自社のブランディングにつながるのであれば、合理的な必要経費であり、デメリットとはいえないでしょう。
とはいえ、コストは抑えられるなら抑えたいものです。フリーダイヤルの導入にあたっては、自社にマッチしたオプションの選択をするなど、コストアップを抑えるための工夫が求められます。
いたずら的な電話がかかってくる
フリーダイヤルへの発信が無料であることから、顧客の架電に対するハードルが下がるメリットは、ときとしてデメリットになってしまいます。いたずら電話が代表的な例でしょう。いたずら電話ではないとしても、自社にとってメリットになりそうもない用件や、間違い電話がかかってくることもあります。どのような内容の着信であっても通話料が発生してしまう点はデメリットに違いありません。
また、通話料が発生するだけでなく、用件にかかわらず電話に出て対応する手間や時間もかかってしまいます。その間、本当に重要な顧客からの着信に対応できないようなことがあれば、顧客満足度の低下や機会損失、ブランド力の低下につながりかねません。
携帯で受けるには転送が必要
フリーダイヤルにかかってきた電話を携帯で直接受けることはできないため、携帯で受けるためには転送が必要になり料金もかかります。その際、転送先を分けられない、フリーダイヤルとフリーダイヤルに紐付いている電話のどちらにかかってきた電話かの区別なく転送されてしまう点には注意が必要です。
フリーダイヤルの契約料金は事業者によって異なる

フリーダイヤルの契約料金、通話料はサービスを提供する事業者によって異なります。初期費用や月額料金は1,000~2,000円程度のケースが多いものの、使用するフリーダイヤルの番号数や回線数が増えれば、選ぶ事業者によって万単位の差になりかねません。通話料の差は1件あたりで見れば小さいかもしれませんが、月単位や年単位で見れば大きな差になり得ます。フリーダイヤルの導入にあたっては、通話料も含め事業者の比較検討が必要だといえるでしょう。
また、利用中のフリーダイヤルを他社に乗り換えるという考え方もあります。より条件のよい事業者に乗り換えることで、コスト面の改善だけでなく業務効率のアップも可能です。フリーダイヤルはナンバーポータビリティが可能となっており、乗り換えによる番号の変更を避けられます。
新しいフリーダイヤルサービスとしておすすめしたいのが、株式会社アイ・ピー・エス・プロが提供する「フリーフォン」です。2025年12月頃にサービス開始が予定されています。フリーフォンは0120番号0800番号を1秒当たり0.06円(固定電話の場合)で使える秒課金が特徴で、コストパフォーマンスに優れたサービスだといえるでしょう。
株式会社アイ・ピー・エス・プロの公式サイトはこちら
フリーダイヤルを契約・導入する流れ

フリーダイヤルの契約・導入の一般的な流れを以下に示します。
フリーダイヤルを導入する目的を明確にする
なぜフリーダイヤルを導入するのか、その目的を明確にし、自社にとってどのようなオプションが必要なのかといった点も踏まえてじっくりと検討します。
サービスの比較を行う
複数ある事業者の料金をはじめとするプラン、サービス内容の情報を収集し比較検討のうえ、どの事業者に申し込むかを決定します。
フリーダイヤルを申し込む
選んだ事業者のWebサイトや電話窓口を利用してフリーダイヤルを申し込みます。
オプションを含むサービス内容、料金の確認
フリーダイヤルの番号数、回線数、オプションを含めてサービス内容と料金を確認します。
フリーダイヤル番号の決定、工事日の調整
契約内容に問題がなければフリーダイヤル番号を決めて工事日を調整します。
契約~開通
最終的に契約となれば、開通を待ちます。開通までの期間はケースによりますが、早くても1週間で、余裕をもって2~4週間みておけば安心でしょう。
フリーダイヤルの活用はクラウドPBXがおすすめ

フリーダイヤルは企業にとって重要な意味を持つメジャーなサービスとなっていますが、さらなる活用を目指すならクラウドPBXの利用がおすすめです。
クラウドPBXとは
クラウドPBXとは、クラウド上に存在するPBX(電話の構内交換機)です。クラウドPBXのサービスを提供するベンダーが用意したシステムを利用するため、自社でハードやソフトを構築する必要がありません。イニシャルコストを抑え、月額制で利用できます。メンテナンスやセキュリティもベンダーが担当するため、導入のハードルが低いことが特徴です。
従来のPBXといえば、事業所の内部に設置するオンプレミス型が一般的でした。自社の費用負担でPBXを置き、物理的な配線で内線電話機を接続し、遠隔地とは専用線で通信するイメージです。メンテナンスやセキュリティ対策の負担もあります。メリットとして、自社設備であるためカスタマイズ性が高い点などがありますが、クラウドPBXの進化に伴い、移行する企業が増えているようです。
オフィスにいなくてもフリーダイヤルを使える
クラウドPBXは利用する場所を問いません。インターネットに接続できる環境があれば、どこにいてもクラウドPBXを使えます。オフィスにいなくてもスマートフォンがあれば転送の手間なしでフリーダイヤルを使えるのがクラウドPBXです。クラウドPBXを利用すれば転送コストもカットできます。
スマホの内線化ができる
クラウドPBXでスマートフォンをまとめて内線化すれば、離れた場所にいるメンバー間で内線通話が可能です。内線通話だから通話料がかかりません。
秒課金にも対応
通話料は60秒でいくら、180秒でいくらといった計算が一般的です。仮に60秒20円なら40秒で通話を終了しても20円かかります。しかし、秒課金に対応しているクラウドPBXなら、40秒は40秒の料金となるため、通話料金の大幅な圧縮も可能です。
クラウドPBX「LIPSE Cloud PBX」
先に紹介したフリーフォンと同じIPS PROのサービスで、秒課金に対応するクラウドPBX「LIPSE Cloud PBX」は、多彩な機能で業務効率のアップを支援します。
フリーダイヤルのよくある疑問

フリーダイヤルに関する代表的な疑問について回答を示します。
フリーダイヤルの契約に際しては料金面やクラウドPBXも含めてお得に選ぼう
フリーダイヤルは顧客からのアクセスを集めるうえで重要な武器となるサービスです。自社が通話料を負担することで顧客からの注文や問い合わせ、相談などの電話が増え、商機が増えるとともに顧客が抱くイメージの向上も見込めます。一方で、事業者による料金やサービス内容の違いにも注意が必要です。フリーダイヤルの契約に際しては、コスト面やクラウドPBXの活用も含めて検討し、お得に選びましょう。

参考文献・エビデンス
「無料でかけられる電話」のメリット
本文には「顧客は通話料の心配なく架電できるため、問い合わせ等のハードルが下がる」とあります。
これは「今すぐに、低コスト(無料)で利用できる」という設計が、行動経済学でいう「現在バイアス」に訴えることを現しています。すなわち顧客の行動促進に寄与していることを表現しています。
「人は、将来よりも現在の利益に強く反応し、“無料”や“即時の得”に対して顕著な行動変化を示す」
アリエリー, D.『予想通りに不合理』早川書房, 2008, p.74
よって「通話料無料で顧客接点が増える」ことは、理論的に実証可能な主張だということを現しています。